文化

【若草山】都心でも猛暑が涼しく過ごせる場所【枕草子にも出た?】

ろまんさん
暑い日がつづくねえ…。どねえかせんと、たおれそう。

 

夏じゃからしかたないじゃろ。
かとりくん

 

ぼんさん
実は、町にたいそう近いのに、猛暑でも涼しい場所があるんじゃ。

 

えー!?
ろまんさん
そんなとこある?
かとりくん

 

 

 

Contents

【若草山】都心でも猛暑が涼しく過ごせるところ【気温35℃でも涼しい】

【若草山】都心でも猛暑が涼しく過ごせるところ【気温35℃でも涼しい】

町の中心部に近いのに、猛暑が涼しく過ごせる場所。

それは、ズバリ「若草山」です。

気温35℃の真夏日でしたが、山頂近くまで行くと、涼しい風がそよぎ、汗ばんだ体をすーっと癒してくれました。

 

 

「若草山」は、奈良市の中心地、やや北の方に位置します。

 

笠を3つ重ねたように見えることから、「三笠山」とも言われています。

 

この山は「標高342m」とそう高くありません。

 

簡単に登れそうな山です。

ということで、入山料150円を払って登ってみました。

 

 

若草山に登る時に気を付けた方がいいこと

若草山に登る時に気を付けた方がいいこと

ぼんさん
小高い丘と言ってもやっぱり山じゃ。

 

登る時は「軽装」は控えた方がいいでしょう。

 

序盤は階段。

なかなかハードです。

 

夏場に若草山に登るのに「用意した方がいいもの」があります。

必ず用意したい

・水分 ・タオル ・帽子 ・スニーカー

これは持っていた方がいいです。特に夏場は。

 

子どもの足でも、山頂まで1時間半もかからないほどの道のりです。

(※ガイドマップには35分と書いてありますが、涼しい季節の「大人の足」でしょう)

 

ぼくは、小学1年生の子どもと一緒に登りましたが、タオルも帽子もなく、水分は「オレンジジュース」しか持っていませんでした。

 

ぼんさん
そりゃあ危険じゃなあ。

 

気温が高く、道すがらの日陰もまったく無いので、厳しい道のりでした。

正午過ぎの一番暑い時間帯だったので、本気で引き返すかどうか迷いました。

 

 

下山してくる人に、残り距離を尋ねると

 

途中で降りてきたけん、山頂まではわからん。
たゆさん

 

と言われ、不安が高まりました。

 

振り返ると奈良盆地の街並み。

途中休憩しながら、なんとか登っていくと、少しずつ「涼しい風」が吹き始めました。

奈良盆地の街並み

そうです。

二重目まで行くと、風通しのよい地形で、暑いよりも気持ちよさが上回ってくるんです。

 

そこから山頂までは、傾斜もゆるやかになり、ちょっとハードな「ハイキング」といった感じでした。

 

 

 

若草山の山頂にある古墳

「若草山」の山頂には、鶯塚古墳があります。

これは、清少納言の「枕草子」に出てくる「うぐいすの陵」だという見方があります。

 

枕草子第十七段

みささぎは、うぐゐすのみささぎ かしはぎのみささぎ あめのみささぎ

という一文があるが、何を指すのかは不明。

 

 

古墳の上には「鶯陵(うぐいすのみささぎ)」と書かれた石碑がありました。

 

石碑の背面には

享保十八歳次癸丑九月良辰東大寺大勧進上人康訓建 延喜式日平城坂上墓 清少納言謂之鶯陵 并河永

(享保18年に並河永が、清少納言の枕草子第17段の「鶯陵(うぐいすのみささぎ)」を磐之媛陵墓(仁徳天皇の皇后)として、東大寺の僧康訓とともに建立した。)

 

享保年間に清少納言の枕草子に書いていた「鶯陵」です、と認定している。

 

一方、奈良県は、鶯塚古墳は枕草子にある「鶯陵」ではない、と発表している。

 

でも、立て看板には、「枕草子」の言葉も見られる。

鶯塚古墳

出典:奈良公園クイックガイド

 

奈良県も見解に迷いを示している記述なのです。

 

西宮市立中央図書館 レファレンス協同データベース 「うぐゐすのみささぎ」はどこを指すのか

 

見解としては、

・「若草山」の見方もあるが、

・大阪府百舌鳥の「仁徳陵」という見方

・大阪府南河内の孝徳天皇の大坂磯長(しなが)の陵とも

 

気になります。

これだけの景観を持つ立地と、100mを超える規模の古墳です。

それだけの身分であった方が祀られているはず。

それが、時とともに、どこの誰なのかわからない。未詳のまま。

 

鶯陵古墳は、発掘調査したこともないらしい。

進まない謎とき。

気になります。

 

ぼんさん
竹取物語の「作者」も未詳。未詳ちゅうんはミステリアスで気になるのお。

 

 

「若草山」にまつわる歌

若草山山頂より

若草山 山頂よりのながめ

「若草山」はときどき和歌にも登場します。

 

春日野は けふはな焼きそ 若草の つまもこもれり われもこもれり(古今和歌集巻一の十七 読み人しらず)

春日野の農民よ きょうは野焼きをするなよ 妻もわたしもこの野にこもっているのだから

 

 

ちなみに、

あまのはら ふりさけみれば春日なる 三笠の山に 出でし月かも (古今和歌集 巻九の四〇六 阿倍仲麻呂)

この「三笠の山」は、南方の春日山(御蓋山)のことで、若草山のことではありません。

よく間違えられるのでご注意を。

 

若草山が「三笠山」と称されたのは、江戸時代以降です。

奈良時代に歌われた、仲麻呂の歌に登場することはありません。

 

奈良の山事情は、実にややこしいんです。

若草山 コトバンクより

『百科事典マイペディア』では、俗に「三笠山」と呼ばれるが春日山の一峰三笠山(御蓋山)とは別。

『世界大百科事典第2版』では、嫩草山(わかくさやま)とも書く。山容が三重になっているために、俗に三笠山と呼ばれ、南方の春日山の一峰「御蓋山(三笠山)」と混同されることが多い。

 

御蓋山 コトバンクより:(阿倍仲麻呂の歌のみかさ山)

『ブリタニカ国際大百科事典』では、「三笠山」とも書く。北方の「若草山」を三笠山と呼んでいるため、よく混同される。

『世界大百科事典第2版』では、「三笠山」「御笠山」とも書き、春日山の前山。この山自体を「春日山」とも言う。

俗称で呼ぶのをやめた方がいいと思うのですが。

もひとつ言うと、包括して「春日山」とも言う、というのも、統一性が無くて困るんですけど。

 

ぼんさん
落ち着くところがない話じゃのお。ぜんたいをまとめましょう。

 

 

【若草山】都心でも猛暑が涼しく過ごせる場所【枕草子にも出た?】まとめ

「若草山」は名前がややこしい。

それだけでなく、山頂の鶯陵古墳についても、だれの墓なのかわかっていません。

さらには、「枕草子」の一節「うぐゐすのみささぎ」」まで、いったい何を指しているのか、わかっていません。

 

奈良は山々に囲まれた古の場所。

だから、個人的には、細かい山の名称には、こだわらなくていいと思います。

 

古墳に埋葬されている人物も(気になりますが)

いまは、いったん考えずに。(抜け出せなくなるので)

 

大事なのは、「古都を味わう」こと。

古都奈良が、肌に迫ってくる感覚。

それこそを堪能したい、そんな場所かなあって思います。

 

謎が多く残されたところですが、それこそがロマンを感じさせてくれるのではないでしょうか。

 

ぼんさん
目で見て、耳で聞いて。肌で感じて。そういう感覚の方が大事じゃな。

 

おわり

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